楽しくなければ〜4月1日入社式〜

4月1日9時から、新任職員12名を迎え、今年度の入社式を行いました。
恒例の理事長訓示と1文字漢字発表をご紹介します。
「本日、入職となられた12名の職員の皆様方、おめでとうございます。
入社式にあたり、一言、訓示申し上げます。
私が、最近、たびたび話の中に引用する考え方です。ビジネス業界では経営コンサルタントの走りとも言われた船井幸雄氏の著書に『成功のセオリー』という本があります。初版は1981年ですから、今から40年近くも前の、それもバブル期に入ろうとしていた頃の本ですから、「成功」などと本の表題にしているあたり、その時代を彷彿とさせてくれます。その「成功」の代わりに「夢の実現」とでもしたら今の時代に合うのでしょうか。さしずめ、「夢の実現のセオリー(理論)」、そのための方法となります。
その中に、「成功する人に共通する人間的条件(三カ条)」、つまり夢を実現する人に共通する人間的条件3カ条というのがありますので、ご紹介します。
まず、第一の条件「勉強好き」、メモ魔人間こそ=勉強好きということです。
私たちの、福祉業界は、少し前まではノーマライゼイション・インクルージョン、そして、せいぜいアドボカシーくらいを業界用語として知っていればよかったのですが、昨今では、自己選択・自己決定・セルフマネジメント、そして医療介護では地域包括ケアシステムなどという用語がたびたび使われるようになりました。
また、リスクマネジメント・ガバナンス・ディスクロジャーなど経営管理に関する用語も多くなって、さらにリテラシーコンピテンシーなどと言われると、何のことやらさっぱり分からないといったことにもなります。
そこで、第一の条件「勉強好き」のメモをとることから、さらに、「分からないことはすぐにその場で調べる」ことが勉強好きして求められることになります。馴れないと億劫ですが、スマホやパソコンですぐに調べることを、ぜひとも習慣化していってほしいと思います。   
次に、第二の条件「すなお」、客観的かつ冷静(さ)こそ=すなおということです。
私たちは、間違った情報などで、初めからかたよっていたのでは、物事を正しく見られないのを経験的に知っています。素直でなければ何事も正しく判断できないし、吸収できないのです。
宮澤賢治の死後に発見された(持ち歩いていた)手帖に書かれてあった『雨ニモマケズ』に、「アラユルコトヲ ジブンヲカンジョウニイレズ ヨクミキキシワカリ ソシテワスレズ」
とあります。
この「自分を勘定にいれずに」が大事で、つまり自分の損得を基準としないで、公平冷静によく見聞き、理解しましょう、そう心がけましょうということです。でも、これは難しいんですね。最後に、「ソウイフモノニ ワタシハナリタイ」というのですから、宮澤賢治でも難しかったのだと思います。
最後は、第三の条件「プラス発想型人間」、伸びる人こそ=プラス発想型人間
ということです。
人間は思い悩む存在だ、だから向上心がある、と言われることがあります。時に、過去にくよくよし、未来に心配のあまり夜も眠れないこともあるのは、私ばかりではないと思います。
しかしながら、過去は終わってしまったことなので、どうあがいてもやり直せないし、未来はやってこない以上、私たちの想像とは別に、大きく変わってしまうことにもなりかねません。
だから、今を忘れた取りこし苦労は、まずしないことです。
私は、時代は必ず良い方向にしか進まないと信じています。もし間違って戦争になったとしても、良識が終戦に奔走し、戦禍を悔い、再び平和に努力する。また、大地震のあとでも、同じ土地で復興に尽力する。もちろん、他の惑星にいくらかの水や空気があるとしても、所詮は過酷な環境・・・、この地球は火星のごときよりはるかにマシだと知っているからです。
本日の入社式にあたり、皆さん一人ひとりの夢の実現のため、ぜひ、今を前向きに生きていただきたい、・・・その願いを込めて、以上の3つの条件を引用して、祝辞とさせていただきます。
ところで、前回の私の講義「親愛会の理念〜生きるを支える〜」の中で、「福祉とは=人の幸せ」と説明しました。
繰り返しますが、私たち福祉に従事する職員が肝に銘じなければならないのは、まず「職員が楽しくなければ、よい仕事はできない。人を幸せにはできない」ということです。
ここで、今年度のキーワード「1文字漢字」を発表します。
『楽』です。言葉の意味は、ラク、「楽しい」。そして、「らく、たやすい」といった意味もあります。私たちは、ともすると「らく」を「らくちん」「きらく」とばかり解釈し、真面目を気風とした福祉では負(マイナス)ととらえがちです。しかしながら、「らく」、「少し余裕をもった身心の状態」と考えれば、まさに「楽しい」のだと思います。
今年度が、職員一人ひとりにとって「良い仕事ができた」1年となりますように、1日1日を楽しく仕事をしていただきたいと思います。」
(理事長 矢部 薫)