人はまた走れます〜『職員意向調査』を受けて〜

「一瞬のハッピーがあれば、人はまた走れる」
これは、元日の朝刊トップ記事の見出し文です。朝日新聞では、年末より特集『平成とは』を組んでいて、<第1部 時代の転換 3幸福論>とあります。
記事によれば、広島県出身の被爆2世。極貧の幼少期を経て、上京し、ロックスターの道を駆け上がった、永ちゃんこと、矢沢永吉さん(68才)の言葉だとのことです。さらにYAZAWA・・・、というと、熱烈なファンを自認する友人知人、何人かに出会いはしたものの、私は同世代ながらあまり馴染むこともないまま今に至ってしまいました。
その矢沢氏が、数々の経験を重ねて気づいたのは、「20代で長者番付に出たけど、心がちっとも温かくない。『神様、成功したら寂しさ、悲しさは消えるんじゃなかったの』と聞いたら、神様が指さした。見るとサクセスとは違う、もう一つのハッピーというレールがあった。成功と温かくなることは別だったんだ」ということ。そして、冒頭の「一瞬のハッピーがあれば、人はまた走れる」の言葉にたどり着いたのだそうです。
そして、「人を喜ばせるよりまず自分でハッピーになることが大事」と、取材の中で自らの<ハッピー>を、意外にも、たとえば「全国ツアー中のホテルでの“ひとりワイン”」を挙げたというのです。
新聞の次ページでは、「平成のライフスタイルの変化」と題して、平成前半と平成後半のあり方が大きく違うことを、“ひとりカラオケ(通称「ヒトカラ」)”“スマホ上の写真アルバム”“配信による音楽・書籍ソフト”などの例をもって取り上げています。
ちなみに、ヒトカラは親愛会の新任職員採用面接時の趣味(ストレス解消法)で、最近よく耳にします。皆でワイワイ楽しむこととは別の<一人の幸福感>を求めているのだろうと思います。
さらに、スマホ1台あれば、時にアルバムを開いて1枚の写真を懐かしむのではなく、たとえば写真をデータとして保存し、必要なときに取り出して転用したり、たとえば1部屋を独占する膨大なアナログレコード・ビデオ・カセット・CDとその再生器材、また書棚からあふれるような本の収集は要らない・・・、いつでもどこでもスマホソフトの利便性の中に<一人の幸福感>を享受しているのだろうと思います。
親愛会では、新人の計画採用人数と次年度人事の参考とするため、昨年12月に全職員対象に記名アンケート「意向調査」(次年度の異動・退職希望調査)を行いました。
今年度は、年末までに事業ごとに非常勤職員も含め集計を済ませました。毎年のことですが、日頃の把握の中で希望を理解できる人もいれば、思いがけない希望に戸惑ってしまう場合もあります。人材難の時代、やっと承諾をいただいた採用内定者数とにらめっこ・・・です。
そして、新年早々に当該職員の面接を済ませ、執行理事会議・経営会議等で人事案検討作業に入ったところです。
新聞記事は、さらに小見出し<比べなくていい ハッピーは自分が決める>の中で、矢沢氏の自伝から、「オレは誰のために生きているのか?」「自分のために生きている。自分が気持ちよくなるために」「自分のハッピーのために自分で絵を描くべきだ」を、引用していました。
新年にあたって、少しずつ、日常ささやかな中で折り合いをつけていく、そんな平成後半の時代の<私流のハッピー>こそが、<また走れる=仕事にがんばれる>ことにつながるのだと、教えられた気がします。
(理事長 矢部 薫)