男性が弱くなったのか〜福祉現場では〜

前号に同じ『NHK市民大学講座』で、カーラジオから聞こえてくるところ、少し不確かですが、“なぜ男性が弱くなったのか”のテーマで意見交換をしていました。
さて、福祉施設関係者の集まるところ、よく話題になるのが「男性職員が弱い」です。
社会が、“男女雇用機会均等法(1985年)”成立などと相まって、「従来の固定的な性別による役割分担にとらわれず、男女が平等に、自らの能力を活かして自由に行動・生活できる」(ジェンダーフリー)ように変化して、女性の社会進出が目覚ましいことは事実です。逆に、かつては女性の聖域であるとされてきた保育・看護の職場にも男性が進出しています。
特に、社会福祉事業のうち居住施設(暮らしの場)の“介助”“介護”現場では、いわば従来型の“女性性”の発揮できる側面もあって、「男性が弱い(=女性が強い)」傾向はあるようです。確かに、これまで多くの女性が好むと好まざるにかかわらず子供のうちから家庭教育の一環として育んできた“家事”、そして“育児”経験を含め、そのスキルを、キャリアにプラスして発揮できるところでもあります。
私たちの現場では、昼夜を問わず、今風の“女性性”もさることながら、今風の“男性性”も発揮して、職員一同頑張っています。しかしながら、施設が利用者の高齢・重度・病弱化によって、自立支援から介護へと日毎に加速していく現場では、かつてほどのジェンダー(社会的・文化的性差)はないものの、特性として“女性性”を認めざるを得ないこともあるかと思います。
ともあれ、冒頭の意見交換は、カーラジオを聞き流すままに、「家長制度の崩壊」「戦争ナシ」「父権主義の失墜」「反セクハラ・反DV世論の高まり」「環境ホルモン因子」、そして「少子化」の影響(背景)など私も考えを巡らすままに進んでいって・・・、「男性が弱くなったのではなく、女性が意見を言えるような社会になったから、これまでよりも男性が弱くなったと感じるだけです」(民主化)との意見が結論(議論の終結)めいて、肯けるのでした。
それならば、と思うのですが、かくなる男たちよ、女たちの優位さに気後れしたり内心キレたりするのではなく、その余るエネルギーを、役割分担として、挑戦(行動障害対応や防災対策などのような困難な目標)に向けよ!などと思うのですが、・・・。少し“思い過ぎ”でしょうか。
(理事長 矢部 薫)