講演会『大震災の教訓に学ぶ』〜大変な時ほど優しさを〜

先日、2月2日に、恒例の社会福祉法人親愛会ボランティア交流会が行われ、今年度は特別に、全日本手をつなぐ育成会副理事長の片桐宜嗣氏による講演会『大震災の教訓に学ぶ』を行いました。
片桐さんとのお付き合いは、私が4年前まで埼玉県発達障害福祉協会会長であった時に、あて職として就任したやまびこ互助会(現、埼玉県知的障害児者生活サポート協会、以下「県サポ協」)理事長時代に遡ります。それまで県単位で活動していた互助会が、「保険業法施行令・施行規則等の改正」により存続(適用除外)が危ぶまれ、共に要望書・署名を携えて国に乗り込んだことがありました。結果、叶わず、平成19年4月より保険への切替えに伴い、新たな「全国知的障害児者生活サポート協会」発足時の副理事長として席を分け合った間柄で、もちろん存続運動時には大変お世話になりました。
その片桐さんには、平成20年6月に、東日本大震災が起きるよりも先のこと、お願いした県サポ協第1回定期総会後の講演『大規模災害に備えて』で、自ら2度の地震新潟中越地震・新潟中越沖地震)の体験から、「障害者をどう守るか」に焦点をあてた、数多くの教訓にあふれたお話をいただきました。
今回は、日頃お世話になっているボランティア、地域の皆様方との災害時における施設との関わり方について勉強することと、併せて昨年10月付けで親愛会の事業所単位で作成した「総合防災計画」を考察することを目的としたところです。一法人のお願いする講演ですので参加者も少なく(80名程度)て、お忙しい中、申し訳ないと思いつつも、ほとんどメールのやり取りで快諾していただきました。
講演の内容は、初めに、東日本大震災時の津波の模様を収めたビデオを鑑賞することから始まりました。ひたひたと打ち寄せてくる津波に戸惑い、逃げ惑う人たちを、時に大きく揺れ、時に左右に傾きながらも撮影されたビデオ映像には、繰り返し流されている俯瞰のテレビ映像には無い生々しさがあって、その悲惨な光景に、ほとんどの参加者が涙を溜め、声を詰まらせたほどでした。
また、避難先の福祉施設の模様では、日常では伺い知れない利用者の皆さんの心理変化(不安等)に対応する職員の心配りに多くの教わることがありました。
ボランティア、地域の皆様方は、どう感じられたでしょうか。
昨秋、親愛会事業所ごとの防災計画策定にあたった防災委員会では、このことを受けて、早速、各事業所に石油ストーブ・ヘルメット等の購入、入所施設の災害用井戸設置を課題としたところです。
終わりに、片桐さんは、職員向けに「気長に気楽に仕事をやっていってほしい。福祉の仕事はキツくて、時には汚いこともある。職員はこれも大変・・・、あれも大変・・・と考えるようになって、終いには仕事を続けることが大変(困難)になってくる。ここは、気持ちを切り換えて、福祉の仕事は“大変ではなくて、大切な仕事なのだ”と思うことによって気持ちがすーっと楽になる。頑張ってみようという気持ちになれる。」との趣旨の話をされました。
そして、会場の皆様全員に「大変な時ほど優しさを」と結んで、講演を閉じられました。
終了後、多くの職員から、
・他人事ではない。
・“大変ではなく大切な仕事”の話が良かった。
・今までで一番印象に残る講演だった。
などの、少し興奮気味の感想が寄せられました。
「夕方からの会議がありますから」と、大雪の新潟へ急がれた片桐様には、多忙の中、日程を調整していただき、職員一同、深く感謝します。
(理事長 矢部 薫)