「福原地区福祉施設ネットワーク会議」経過報告

直接のきっかけは、平成22年7月と9月に行われた、川越市社会福祉協議会主催の「地域福祉エリアミーティング」の席上、同じテーブルの福原地区自治会支会長からの一言、
「俺たちには、地域福祉活動、それから地区福祉計画を作るなんて言われてもよく分からない。施設の職員に手伝ってもらわないと困る」
でした。
昨年の春に、そのことが今期の自治会支会長に引き継がれて、
○「福原地区福祉施設ネットワーク会議」準備会
同年9月20日に、地区社協会長(地区自治会支会長兼任)および私、親愛会理事長の発起人で、「福原地区福祉施設ネットワーク会議」準備会を、地区公民館で開催しました。
メンバーは地区社協正副会長と地区内3法人の担当者(理事長・事務局次長・施設長など)とし、オブザーバーを市社協に、市役所出張所を事務局にして、
①市社協「地域福祉を進めるために」の説明
②地区福祉の現状
③地区民生委員の現状
コミュニティソーシャルワーカーCSW)研修会について
⑤意見交換
を行いました。
○「第1回福原地区福祉施設ネットワーク会議」 (福祉事業者)
同年11月26日に、福祉サービス提供事業者8団体の担当者20名が集い、自己紹介に続き、意見交換を行いました。
○「第2回福原地区福祉施設ネットワーク会議」 (地区社協理事)
今年1月28日に、福祉サービス提供事業者8団体の担当者の「福祉施設の概要説明」に続いて、地区社協理事出席者(自治会長14名と民児協会長)との意見交換「福祉施設と地域のネットワークについて」を行いました。
○「第3回福原地区福祉施設ネットワーク会議」 (民生児童委員)
今年3月7日に、福祉サービス提供事業者7団体の担当者の「福祉施設の概要説明」に続いて、地区民生児童委員出席者25名との意見交換「福祉施設と地域のネットワークについて」を行いました。
川越市福原地区は市内南部、古くからの農村集落に徐々に工場・住宅が進出した、人口2万人弱、世帯数約7,400、高齢化率19.8%(平成22年1月1日現在)の地域(小中学校圏域)です。前述のエリアミーティングで出た課題としては、
・近所付き合いが希薄になっている
・高齢者が増えている
・災害時のことが不安である
・団体役員等の担い手が不足している
・子育ての支援体制が不十分である
・障害者の支援体制が不十分である
が上がっておりました。
これとは別に、私たち法人側の課題として、平成10年6月に中央社会福祉審議会より「社会福祉基礎構造改革(中間まとめ)」が示され、社会福祉法人の抜本的な改革、例えば低所得者、援護困難者に配慮した事業実施や民間企業等の他の事業主体との“イコールフッティング(条件の同一化)”、外部監査の導入や情報開示による適正な運営管理が求められるなど、これを契機として社会福祉法人のあり方が論議されるようになりました。
全国経営協では、平成15年度に社会福祉法人事業以外の公益性をもったさまざまな活動の、実践事例収集に取り掛かるなど「地域貢献に向けた1法人1実践事業」の推進を図ったところです。
他方、平成23年12月の社会保障審議会介護給付費分科会で、平成22年度決算における特別養護老人ホーム1施設当たり平均約3.1億円の「内部留保」があったとの報告を皮切りに、日経新聞などでも取り上げられたこともあって、社会福祉法人の剰余金(資産)をめぐっては、いわゆる埋蔵金として厳しい世の批判を浴びる形となってしまいました。
このような背景で、親愛会として、どう地域と関わり合えるかを5〜6年前から模索していた私は、「川越の地域福祉を考える会」(市内にある社会福祉法人の有志の会)などで、社会福祉法人の地域貢献活動のあり方として、
・地域との防災協定による相互協力(助けていただくだけではなく、場合によっては施設を避難所として利用していただく)
・出前相談窓口の開設
・民生児童委員のサポーター活動
・地域の見守り活動
・ごみ屋敷清掃等のボランティア活動
などの必要性を提案してきた経緯があります。
ところで、福原地区福祉施設ネットワーク会議は、3回を数えて関係各方面の一定の理解を得る代わりに一段落してしまった感が否めない状況に追い込まれてしまいました。そのため、再度福祉サービス提供事業者3団体を中心とする打合せ会で検討した結果、とりあえず3法人で、自主的に
・月に1〜2回「よろず相談窓口」を開設し、出てきた課題に取り組む
こととしました。
早ければ10月から機能させて、その上で、今年7月から始まった「川越市コミュニティソーシャルワーカー配置事業」(今年度は2圏域でのモデル事業)に、将来乗せていく方向で検討するこことしました。このことは、「社会福祉法人は、低所得者、援護困難者に配慮した事業実施など、引き続きサービス提供において中心的な役割」(「社会福祉基礎構造改革について(中間まとめ)」の要点)を担っていくことにつながる第一歩だと思えるからです。
やっと形が見えてきた段階ですが、本ネットワーク会議発足1年後の経過報告とさせていただきます。
(理事長 矢部 薫)