新年度にあたって〜1万時間と初心〜

4月1日午前9時より、親愛会職員辞令交付式(入社式)を行いました。
一昨年までは10名程度でしたが、今年7月には特養ホーム開設を控えていますので、昨年の23名に続いて新採用職員35名という規模の大きな式となりました。
恒例の理事長あいさつ(訓示)では、M・グラッドウェルの「10000時間の法則」(『天才!成功する人々の法則』、偉大な成功を収めた起業家や世界的に有名なスポーツ選手など何かの分野で天才と呼ばれるようになる人たちに共通しているのは、10,000時間というこれまでに打ち込んできた時間が関係しているというもの)というのがあります。評論家勝間和代さんの訳本で、自身もいろいろな機会に紹介してきましたので、ご存知の方も多いと思います。
これを私なりに引用して、
「私たちは天才と呼ばれることは生涯無いに等しいとしても、それでは凡人は無為に時間を費やしているだけか・・・というと、そうとは限りません。たとえば、仕事上、ずっと集中して、一所懸命に・・・、そんなわけにはいきませんが、それでも給料を得る以上、自分なりにがんばって働くわけです。1日8時間、月22日で176時間。これを1年続けると2,112時間、5年で10,560時間になります。端数の560時間、70日分は有給休暇を取得するとして、1万時間をクリアするには、ちょうど5年かかることになります。
皆様には、5年後の自身を想定して、その間に資格取得、研修を通じて能力開発などのキャリアアップに励んでいただいて、是非とも自分なりの1万時間、自分なりのプロフェッショナルを目指してがんばっていただきたいと思います」
と、激励しました。
4月3日は、新任職員歓迎会で、冒頭のあいさつで、恒例の平成27年度“キーワード”(一文字漢字)『初』(特に、“初心”)を発表しました。
初心については、本欄(2011.4.1付)ですでに説明しておりますので、ここでは詳細は省略します。
当日は、職員一人ひとりの「初心=それまでに経験したことがないことに対して、自分の未熟さを受け入れながら、新しい事態に挑戦していく心構え」(世阿弥『花鏡』)としての“初心忘るべからず”をお願いしました。
この欄では、法人の“初心”を考えてみたいと思います。
ところで、“企業寿命30年説”というのがあります。これは、20年以上も前に、経済情報誌『日経ビジネス』が「明治以降100年におよぶ上位100社のランキングを作成し、分析した結果、企業が繁栄を謳歌できる期間は平均わずか30年に過ぎない」というものです。私たちは、社会福祉制度改革の一環として始まった障害者自立支援法(現、障害者総合支援法)の前身の支援費制度(2003.4.1施行)導入時に、それまでの措置費制度が戦後50年以上も経過する中で、制度疲労を起こしているの例えで、度々、講師によって使われた記憶があります。ちなみに、親愛会は、今年で36周年になります。
他方、日本の社会福祉事業を行う社会福祉法人は、厚労省を本社とした支店に過ぎないと批評する人もいます。本社による度重なる制度変更、法改正によって、私たち支店は、いわゆる先が見えない、5年後、10年後の計画が立たない、立てにくい状況となっていることも事実です。
私たちの“支店性”はともかくとして、少なくとも社会福祉法人を継続していく上で、「時々の初心忘るべからず」のとおり、創立36年の経験を重ねて、現在の諸事業を行う中でも、<その時々の初心として、未熟さ、欠点を自覚して、もう一段上を目指して>精進しなければならないのだと思います。
もちろん、特養ホーム「みどりのまち親愛」にあっては、<最初の時の未熟さをよく覚えておいて、初心(の欠点)を自覚して将来の上達に役立て>精進しなさいということだと思います。
新年度の始まりにあたって、役職員一同、改めて気を引き締めていきたい所存です。
(理事長 矢部 薫)