新年度にあたって〜社会福祉法等の一部改正法の成立を受けて〜

4月1日午前9時より、平成28年度新任職員辞令交付式(入社式)を行いました。昨年度はみどりのまち親愛のオープンに合わせた職員採用を行ったため新任職員35名を数えましたが、今春は一昨年度並みの22名を迎えて、法人全体では非常勤職員も含め総数246名(4月1日現在)になりました。
理事長あいさつ(訓示)では、前日に「社会福祉法等の一部を改正する法律」が国会で可決・成立したこともあって、例年になく、身の引き締まる思いで壇に臨んだ次第です。社会福祉の歴史にも残るであろう、この大きな改正は、とりわけ来年度からの社会福祉法人の抜本的な改革を意味し、その一部は本年度の4月1日からのスタートとなるのですから、歓迎の辞とは別に、これに触れないわけにはいきませんでした。(※本ブログでは、このことを抜粋し、少し説明を加えて記すこととします)
「今年度施行の制度改革では、
Ⅰ【事業運営の透明性の向上】〇財務諸表、現況報告書、定款の公表に係る規定の整備等(一部)については、閲覧対象書類の拡大と閲覧請求者の国民一般への拡大を意図したものですから、私たちは先ず、国民(納税者)目線で分かりやすい書類作りに心がけなければならない。特に、事業計画及び事業報告についてはPDCA理論に基づいた法人事業の評価しやすい資料作りに努力しなければならないと思います。また、客観的資料として、福祉サービス第三者評価等を受け公表していくことも急務と考えます。
Ⅱ【財務規律の強化】(適正かつ公平な支出管理・いわゆる内部留保の明確化・社会福祉充実残額の社会福祉事業等への計画的な再投資)(一部)については、その詳細は今後示される政省令を待たなければ分かりませんが、私たちは、これまで以上に適正かつ公平な支出管理を心がけなければならないと思います。
Ⅲ【地域における公益的な取組を実施する責務】〇社会福祉事業及び公益事業を行うに当たって、無料又は低額な料金で福祉サービスを提供することを責務として規定については、全面的に施行になるとのことです。
実は、地域福祉ということでは、もちろん親愛会は居住施設・障害福祉サービス事業所等により地域の拠点となるような事業展開をしてきましたが、それとは別に、私なりに課題として取り組んできたことがあります。
まず、平成21年7月に市・市社協をオブザーバーに迎え、市内高齢・身障施設の法人と一緒に、3法人で私的な『川越の地域福祉を考える会』を発足させて、年に1度程度の研究会を行なってきたことです。しかしながら、中核市川越の35万人圏域では、さすがに広域すぎて、行政等の施策と併せて小中学校圏域を単位に考えていかないと進まない状況が浮き彫りとなって、いわゆる総論だけでは足踏み状態にありました。
これと並行して、平成22年7・9月に開催された市・市社協主催の「地域福祉エリアミーティング」は、平成24年9月、当時の福原地区社協会長及び同地区内福祉関係者の呼びかけで結成された「福原地区福祉施設ネットワーク会議」のきっかけとなりました。(※2013.8.27本ブログ「同会議経過報告」参照)
このことに、今回の社福法人改革が後押しをする格好となって、今年2月に行われた「同会打合せ会」では、私はこの間に自らも参加して進めてきた県社協・経営協を中心に開始した「彩の国あんしんセーフティネット事業」の趣旨・経過を報告し、他法人からは前回より一歩進めた「福原地区ネット(地域コーディネーター事業)プロジェクト(案)」が提出されました。
折しも、本年3月付けで作成された市・市社協による地域福祉(活動)計画『みんなでつくる福祉のまち川越プラン』によれば、
“福原地区福祉プラン”目標1 地域のつながりを深めよう 〇福原地区内のネットワークを強化しよう
►福原地区福祉ネットワーク会議による関係機関の連携を強化します
①福原地区内にある福祉施設、病院、行政機関、自治会、地区民児協が連携を深めるための組織として、福原地区福祉施設ネットワーク会議を開催し、地区内の連携強化を図ります。
とあり、これまでの福原地区のネットワーク会議による活動に期待した目標が掲げられています。
親愛会としては、このことを踏まえ、5月に予定されている本ネットワーク会議を通じ、新たな時代に求められる“地域における公益的な取組(義務化)”を実践に移していきたいと考えています。」
と、今年度の制度改革における当法人の課題を説明しました。
また、法人主催の新任職員歓迎会では、恒例の、平成28年度「キーワード」1文字漢字を発表しました。
『緒』:<繭を煮て糸を引き出す>意。いちぐち:糸の先端。
1 物事のはじまり。動きはじめ。いとぐち。「緒に就く」「解決の緒をつかむ」「情緒」「心緒」「由緒」
2 同じ(こと)「一緒」
今回の社会福祉法人改革を機に、役職員一同、心を一にして、新たな法人組織の確立、各福祉事業の充実を図っていきたいと思います。
(理事長 矢部 薫)