新年度にあたって〜制度改正後の方向性〜

平成29年度がスタートしました。
今年度の特徴としては、昨年度より一部施行された「社会福祉法等の一部を改正する法律」の第2弾として、
社会福祉法人制度の改革>の本丸(1)経営組織のガバナンスの強化(2)事業運営の透明性の向上(3)財務規律の強化
が本格的に実施されたことです。
このことは、かつて措置費制度から支援費制度へ、そして障害者自立支援法(のちの同総合支援法)へ、あるいは介護保険制度へと移行したこととは次元の違う大改革とも呼べるものです。つまり、私たち社会福祉法人の存在根拠となる法律が変わって、「一般財団法人公益法人と同等以上の公益性を担保できる経営組織」、さらに会社にも近い組織へと変わることを条件とした定款に生まれ変わったのです。とはいえ、社会福祉事業そのものは変わりませんので、事業を支える仕組みが変わったというべきでしょう。
具体的には、先ず、これまで「諮問機関」として位置付けられていた評議員会が、「法人運営の基本ルール・体制の決定と事後的な監督を行う機関」となりました。これにより親愛会では、3月中に新たに評議員選任・解任委員会で選定のうえ、改めて各分野で見識の高い皆様方に、4月1日より評議員としてお願いしました。
また、これまで「理事、理事長の役割、権限の範囲が明確でない議決機関」としてしか機能していなかった理事会が、「業務執行に関する意思決定機関」として位置付けられ、「理事・理事長に対するけん制機能」を働かせることになりました。これにより親愛会では、業務執行上の意思決定と責任をもつ施設長等を充てる方向で、来たる6月に予定されている定時評議員会に諮れるよう進めています。
監事においては、これまで「理事・使用人に対する事業報告の要求や財産の調査権限、理事会に対する報告義務等が定められていなかった」のですが、「権限、義務(理事会への出席義務、報告義務等)、責任」が法律上規定されました。
また、当初「一定規模以上の法人への会計監査人による監査の義務付け」により、親愛会でもその選任が見込まれていたところですが、今年度は収支決算額30億円以上の法人が対象となりました。しかし、4年後は当初の国の案どおり10億円以上となって親愛会も該当しますので、今後の4年間をその準備期間として、新たに監事に公認会計士を充てたところです。
以上、6月の定時評議員会の議決を経なければ正式にはスタートしませんが、これまで法人内で検討を重ねてきた、社会福祉法改正後の親愛会の方向性(概要)です。
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4月1日の新任職員辞令交付式では、11名の新職員を前に歓迎の挨拶をして、平成29年度のキーワード(1文字漢字)『域』を発表しました。漢字の意味は、「物事の程度の、一定の段階。範囲。境地。」です。
親愛会では、上述の社会福祉法改正の昨年度から施行された「地域における公益的な取組を実施する責務」を果たせるよう、これまでの「彩の国あんしんセーフティネット事業」(生活困窮者に対する相談支援事業)の親愛会事業「あんしんネット親愛」に加えて、新たに地域の医療・福祉の連携による「福原地区福祉ネットワーク(通称「福原ネット」)」をスタートさせたところです。これにより、地区の自治会、民生委員児童委員協議会等との連携の中で、今まで以上に<地域>を視野に入れた取組みが求められることになりました。
また、今後の親愛会の「中長期計画」は、今回の社会福祉法改正による「社会福祉充実計画」の策定いかんに大きく左右されることになります。その根拠となる充実残額は6月の定時評議員会を経ないと確定されません。
本年度の事業計画については「各事業の見直し」と題して、人・物・金の及ぶ<程度の範囲>を明らかにし、来たる平成30年度の介護報酬と支援費改定(実質的減額)に備えた中で、特に親愛センターの改修工事を見込んで、それぞれの事業におけるムリ・ムダ・ムラを無くす、すなわち
1、費用対効果を検証し、
2、より効率化を推進する
などの見直しを共通の課題としました。
(理事長 矢部 薫)