初夏3度(たび)〜みどりのまち親愛2周年〜

4月上旬に、法人本部のある特養ホーム「みどりのまち親愛」の中庭の、しだれ桜が咲きました。
施設建設工事の後遺症でしょうか。昨年は、かつて親愛センターの農場としてお借りしていた頃のせいぜい半分程度の開花で・・・、さらに枯れ枝も目立つところ・・・、三方とはいえ「やはり建物に囲まれた樹木は育たない」のかと行く末を案じたものでした。
今年は、写真で検証したかぎり、例年の7〜8割方まで回復したように見えました。
5月に入ると、敷地内緑化のために種を蒔いて育てているクローバーの新芽に次々と花がつき始め、下旬には、みどりのまち親愛はさながら<緑の上に白い花を散らしたじゅうたんに浮かぶ保養施設>のような外観を見せてくれました。
加えて、外周は越冬したノースポールの白い花が株を大きく咲かせていて、施設全体の清楚なたたずまいに、思わず立ちどまる人も見かけました。
6月に入り、外周の入替えに地元の園芸農家よりペチュニアの花を大量にいただきました。本日、8日は植替え日、朝から順に市道からのアプローチに、隣地境界に、ピンクの花が並んでいきます。(※(有)石井園芸様には親愛センターに続き、本施設も開所当初よりご寄付いただいております。)
ところで、6月5日の朝日新聞『歌壇』に次のような短歌が入選されていましたので、ここに紹介します。

百一歳椅子につかまり背を伸ばし腕立て伏せのまねごとをする
作者は、101歳の元気なお年寄り。長い間、短歌を趣味とされていたのでしょうか。さらさらと自然な言語の流れに、歌作りの基本を見るような気がします。デイサービス、あるいは日中活動の機能回復訓練中の腕立て伏せは、意気込みで十分・・・。椅子にしっかりつかまり、ご無理なさらないでいただきたいと思います。

リハビリの発声にふと言いてみぬ「九条守れ」と験(ため)すが如く
毎日デイサービスに通うも、くり返しのリハビリに、もう一つ身が入らない。遠くから聞こえてくるのはテレビの国会中継憲法改正論議・・・、今まで温厚に生きてきたが、ここは戦争経験者として声に出してみるか、「戦争反対――」と。そんな作者の思いが伝わってきます。

舗道から介護施設が見え隠れきょうは紙風船ついているらし
さて、作者はだれでしょうか?
通勤・通学に、また用足しに介護施設沿いの道を往来する近隣の皆様でしょうか?ひょっとしたら、かつて肉親が入居されていたことがおありなのか・・・。あるいは、今現在、知人友人が入居されていらっしゃるのかもしれません。
また、実際にボランティアや職員として関わりのあった人が、久しぶりに施設の脇の舗道を歩いておられたのか?
おおよその建物内の見当はつくのでしょう。木立の中に見え隠れする建物のガラス窓からデイサービスや日中活動の一場面が見え、にぎやかな声まで聞こえる。あれは風船遊びだろうか。たまには良いが、子ども扱いするんじゃ困る・・・などなど。
この一首に、少し複雑な思いをするのは、私ばかりではなく、介護福祉施設(特養ホーム)を運営されている関係者共通のことと思います。

まもなく、みどりのまち親愛開設2周年、さまざまな人のさまざまな生き方(スタイル)を尊重したサービスの質の向上を求められる3年目に入ります。
(理事長 矢部 薫)