十年の計〜趣味の話〜

7月でまる10年となった俳句は奥が深くてなかなか上達しませんが、同じ10年になるジョギングは、生来運動を苦手としてきた私には、寄る年波以上に心臓に筋肉に負担がかかるようで毎週土曜日の10キロの道のりもきつくなりました。かねてから友だちの言う「無理するなよ!」を一考するも、せっかくついた生活習慣をやめるには惜しい・・・。ついに先月から<毎朝6キロ走、ただし体調により休み休みも可>に変更したところです。これで5年はいけるでしょうか。
私こと、今年度から嘱託職員となって、これまでの休日以外にも休みが増え、そこで再開したのが絵画(油彩絵)制作です。
ご存知のとおり油絵は、時に出かけた先で1時間程度で仕上げるスケッチ画と違って、月単位で相応の休日が見込める環境を要しますので、絶好の機会となりました。
油絵については、今から15年前に南の里をオープンさせて、それから4、5年の間は1年に10作品という勢いで製作していったことがありました。きっかけは、新施設の食堂の間仕切り壁を、運用上、常時閉じた状態で使用することになって、せっかくの食事時、どうしても圧迫感を感じてしまうこの壁に何か工夫はないものかと、急きょ思いついたのがキャンバスF80号*4枚の大壁画でした。なるべく窓代わりに大自然の風景画を当てはめてみたいと考えて、長野県下、上田市の先の高速道サービスエリアからの眺望・・・、千曲川に沿って開けた田園風景(大パノラマ)としました。高校卒業以来の絵筆でしたし、また飾る都合上急いだこともあって、「技術のどうかはともかく、これだけの絵を描くというエネルギーはお見事!」(職員評)という他にほめようがないといった言葉どおりの仕上がりでした。
加えて思い出深いのは、上記合い間にF0号のキャンバスに1人ひとり描いた南の里入居者様の似顔絵です。製作用の写真撮影に応じていただけなかったお二人以外は、絵画モデルとして快く承諾していただきましたので48枚です。仕上がるたびに、南の里玄関に展示してきましたが、一定の期間を過ぎたので外しました。今は私の手元にあります。中には退居されたり亡くなられた方もあって、貴重なコレクションです。
ところで、6月に思いがけず、今年よりお願いした酒井監事さんから、20年近く続けてこられたというエッセイ付き油彩画集『絵で夜更かし(新版)』をいただきました。彼は「仕事や生活にきたさないように」「夜11頃から2時間くらい、毎日油絵を描いています」なのですから、その勤勉さにまず敬服です。その上、当初よりきちんと先生につかれその道を着実に歩まれているとのことで、私のような気向きの趣味と違って、本格的です。
また、俳句会の友人でもある横山さんに、親愛会管理職研修会講師の打合せに来ていただいた折に、話題となった「淡彩スケッチ」ご自身の作品(写真)を、後日届けていただきました。彼は水彩画講座に通って2年、私の気ままなスケッチ画と違って、色彩豊かにしっかり仕上げています。
私はというと、4月早々に、描き始めた早春の不老川の風景画(F80)の合い間に、好きな人物画(6〜10号程度)を描き始めました。数か月、1年と時間をかけて作り上げていく大作と、短期決戦、“本当の自然は人の顔にある”とばかりに細部に集中して描き込んでいく小品と・・・、これで10年はいきたいものです。
(理事長 矢部 薫)