現場実践者としての覚悟を問う〜施設関係者の本気度〜

去年今年(こぞことし)、昨年6月に成立した「働き方改革関連法改正案」が、今年4月1日に施行となります。本改正は、雇用対策法労働基準法など関連8法に及ぶ改正で、施行日は大企業、中小企業及び職種によって違うため、私たち親愛会の規模ではあらかじめ先送りとなる改正もあります。もちろん、「一定日数の年次有給休暇の確実な取得(年次有給休暇の時期指定義務)」をはじめ、副業・複業など多様な働き方等、今春以降の就業規則改正に盛り込まなければならない事項もあります。
他方、外国人労働者の雇用拡大に向けた「外国人材受け入れ拡大法案(改正出入国管理法案)」が昨年12月に成立しました。
本法案については、いわゆる技能実習生をめぐって、野党側から多くの問題が指摘されるなど4月の施行に向けて解決しなければならない課題も残されています。しかしながら、産業各界での人材不足は極めて深刻で、「産業界の強いニーズに後押しされての本法案の拙速可決」色の濃いものとなりました。このことは福祉業界でも例外ではなく、実際に、お付き合いのある高齢者施設関係者の電話口からは、(開口一番)「だれか人、いない?!」との悲鳴が聞こえてきます。
法案は成立したものの、日本が受入れに手をこまねいている間に、すでに東南アジア諸国では、諸外国による人材の奪い合いが始まっていて、たとえばドイツによる介護人材の受入れが進んだ結果、日本は特に給与面で劣勢に立たされている。また、隣県の知事を先頭にした介護人材確保のための、ベトナム入りの模様がテレビで報道されていました。
人の問題は、人口減少社会にあっては、どのような施策のもとでも“焼石に水”でさえあります。しかしながら、人材のダイバーシティ(多様性)やインクルージョン(包摂)の考え方にそって、年齢・性別・文化・国籍などを認め合うことにより、たとえば「障がい者の雇用枠拡大」は元より、何らかの理由で「生きづらさをかかえた人たち」、「生活困窮者」、「罪をつぐなった人(刑余者)」など、それぞれの就労支援と受入れ拡大に努力しなければならないことでもあります。
これらのことと併せて、可能なかぎりIT化による業務の効率化、ロボット化による業務の省力化も進めていかなければならない大きな課題です。
私たち、親愛会は、今年5月1日で創立40周年を迎えます。折から、平成27年7月のオープンの特養ホーム「みどりのまち親愛」整備を皮切りに、今年度の川越親愛センター、親愛南の里の浴室等改修工事を終えて、比較的予算規模の大きい入居型施設について計画してきた整備・改修事業をひとまず終了することになります。
今後の中長期の計画は、ワークスしんあい、グループホームしんあいの改修・整備計画を含め、法人全体の建物設備について、10年先までの修繕を見すえた財務計画を根拠にしたものとなります。
ところで、昨秋のこと、私が評議員をお受けしている法人の資料として、「全国施設長研修会」の開催要綱を手にしたことがありました。その中の最終日の『シンポジウム』の表題に“現場実践者としての覚悟を問う”と副題が付けられてあって、印象に残りました。
私たちの経営は、一昨年の改正社会福祉法により、“自主的な経営基盤の強化”、すなわちヒトモノカネについてどう目標に適った手だてが構築できるかが求められることになりました。
私たちは、上述の数々の課題にひるむことなく、一つひとつ解決し、乗り越えていかなければなりません。そのためには、今こそ、執行役員をはじめ、私たち職員一人ひとりの「現場実践者としての覚悟(本気度)」が求められているのだと思います。
(理事長 矢部 薫)