平成25年度一文字漢字(キーワード)

4月25日、恒例の新任職員歓迎会の挨拶の中、今年の一文字漢字を『集(しゅう)』と発表しました。
“集”とは、字源として、隹(とり)が3羽、木の上にとまっていることから転じて、大勢集まることの意味になったそうです。
辞書を引くと、以下のような意味がありましたので、今年の漢字に込めた思いを、少し詳細に記述させていただきます。

1 集まること
一般的に言って、地域の集まりやクラブ活動などの集団に属すること、あるいは会社に就職すること、それ自体が同じ志をもった人たちが集まることですので、私たち、親愛会職員は大きな意思を持って、もうすでに集まっていることになります。すなわち、私たちは、人生をかけるかけないは自らの問題としても、障害福祉にかける思いは、決して“大変な仕事”ではなく、自らの意思で“大切な仕事”として選んだはずなのです。
“初心忘るべからず”、室町時代の猿楽師、世阿弥は著書『花鏡(かきょう)』の中で芸道のいろいろな段階での初心を述べております。私たちにとって、各自の経験に応じた初心、つまり“大切な仕事”という認識(自覚)こそが、高い福祉観を持ち続けられることになると、私は信じます。

2 共通の目的で人が大勢寄り合うこと
親愛会では、この4月1日より念願の特別養護老人ホームの施設整備事業(2か年事業)が始まりました。まさに、私たち職員は共通の目的として高齢者の福祉に歩を進めたことになります。
ご承知の通り、親愛会は川越親愛センターと親愛南の里の、2つの障害者支援施設(施設入所・生活介護)を持っておりますが、特に南の里にあっては高齢化・病弱化傾向は年々著しく、障害者施設機能の限界にあります。しかしながら、既設の特養ホームは待機者も多く、また、知的障害や発達障害などに起因する様々な特性ゆえに、重度の高齢障害者の受入れはほとんど困難な状況にあります。そこで、今施設整備では、1ユニット10名程度の高齢障害者の受入れを可能とした特養ホームを計画した次第です。
もちろん、広域型の一般の特養ホームですから、障害者専用というわけにはいきません。また、発生率からいって、障害者は10〜20軒に1人の対象者ということになりますが、高齢者となると(誰でも高齢者になるわけですから)ほぼ100%、デイサービスやショートステイも加えますと地域住民全員が対象となります。
私たちは、今、社会福祉法人の役割として、これまでどおり障害者福祉を推進していくことはもちろんですが、“地域福祉”、さらに小中学校圏域をエリアとした“地区福祉”の拠点機能を高めなければならないと考えます。その意味でも、地域に十分貢献できる、文字通り“地域に開かれた福祉”という、新たな共通の目的を持つことによって、高齢者福祉を含め、今まで以上に多様なスタッフ(支える人材)が大勢寄り合うことになると思います。

3 人々の気持ちなどが集中すること
社会福祉を支える人材、人材無くしては事業が成り立ちません。
私たちは、2年後の特養ホーム開設までに、新たな人材として、パート職員を含めると、少なくとも70〜80人もの職員を雇用する必要があります。法人職員として自覚(資質)を持ったスタッフ態勢を整備するためには、目標は、「自らの育成を図り、そして部下の育成を図る」こと、すなわち今いる職員の人材育成を是が非でも図ることが先決です。
そのためには、役職員が一丸となって、気持ちを集中させて、本施設整備事業を遂行するとともに、2年後のオープンに向けて人材育成に力を尽くすことが求められているのだと思います。

(理事長 矢部 薫)