新年度を迎えて〜辞令交付式挨拶文〜

4月1日午前9時より、13名の新任職員を迎えて、辞令交付式を行いました。
新年度を迎えて、本欄への私からのご挨拶を込めて、当日の挨拶文を紹介します。
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入職おめでとうございます。
ちょうど本日は、2つの意味で、記念すべき4月1日を迎えたことになると思います。1点目は、私たち障害福祉をやっている事業所にとりまして、福祉の歴史にも記憶されるべき4月1日だということです。
つまり、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」(障害者総合支援法)の施行日です。これまでの、平成18年4月施行の『障害者自立支援法』のいう「自立生活の支援」から、「基本的人権を共有する個人としての尊厳を保障した支援」へと大きく転換しなければなりません。このことについて、大方の福祉関係者は180度の転換だと言いますが、ある識者は“見慣れた鉢植えの草花を鉢の底から見る”ような転換だと表現していました。
法の趣旨は、一例を挙げますと、どんなに重い障害をもつ人であっても、私たちと同じように、どこに住もうが自由だということです。まず本人の希望(意思)があって、それが叶えられるよう色々な機関やサービスが支援していきましょう、ということです。
特に措置の時代は“指導”ということで、文字通り「指で差し示して導く」のですから、とかく上から目線、本人の意思は余り介在せず、場合によっては強制的になっても仕方がないという構造でした。これが“支援”つまり「杖となって支え、助ける」のですから、これまでのように草花の上から水や肥料、消毒を施して、良かれと思う花を咲かせてもらう、咲かないなら何時まで経っても温室から出られないぞっていうことではなく、文字通り“鉢の底から”根っこはどうか、たどって行って・・・、枝葉はどうか、目指す太陽の方向はどっち・・・、将来は地植えも視野に入れて・・・と、草花主体に見ていくわけですから、“見慣れた鉢植えの草花を鉢の底から見る”という表現もぴったりかと思います。
2点目は、親愛会にとりまして、記念すべき1日となると思います。オープンは2年後の4月1日ですが、昨年度に申請していた懸案の特別養護老人ホームの施設整備計画が、川越市より業者選定を受け、本日より2か年計画の1年目として始まります。親愛会としては、法人開設以来の一大事業ですので、役職員一同、身も引き締まる思いで本日を迎えたことになります。
以上の2点に言えることですが、つまり1点目の障害者総合支援法をスタンダードとした各種サービスへの切換え、そして2点目の特養ホーム開設までの2年間にすべきこと、それらは取りも直さず、<人材育成>にあると思います。
そのため、本年度からは、例年よりも特段の意味合いを込めた“職員の人材育成”を法人の大きな目標の一つに挙げたところです。
そのような記念すべき日に、入職された皆さん、ようこそ親愛会に来られました。親愛会を選ばれた皆様方は、まことに幸運です。
長い人は、昨年秋より、月1回の事前研修会をこなし、3月にはできる範囲で現場に入り研鑽を積まれました。また、いろいろな事情から、本日が初日という人もいます。
どうか1日も早く、利用者様の名前を覚え、障害特性を把握し、個別支援計画にのっとった支援ができるようになることを期待します。そして、親愛会の各種サービスの一角を担う人材としてたくましく成長して行ってほしいと望むところです。つまり、皆さんは、今現在、真面目で、優しいという基準で選考された結果ここにいますが、どうか、今後は一つひとつ強みを増やしていって、キャリアアップに努めて、いつしか臨床経験に裏打ちされた真に社会福祉に“強い”職員になってほしいと期待します。
最後に、少し訓示めいたことを紹介したいと思います。
先週末のこと、最近では、余り目にすることもなかったNHK連続テレビ小説純と愛』最終回が目にとまって、主人公のセリフの中で、「信という字は、“人が言う”と書くんだ」というフレーズが耳に留まりました。念のため、辞書を調べると「人が言明したことを守る」とありました。言ってみれば、(社会人になってからは特に)発言に責任を持つ、このことによって周りから信頼される、ということだと思います。
どうか、本日ここに集まった同期の皆さんを、先輩職員を信じてください。親愛会を信じてください。そして、いつまでも長くお付き合いいただきたい。そのためには、まず自分から積極的に発言してみることです。そんな“信”の一字を、本日の記念にご記憶いただきたいと思います。
本日は、おめでとうございました。
(理事長 矢部 薫)