“心田を耕す”〜35年のボランティアという実践〜

去る4月20日に盛大に行われた、立正佼成会川越教会発足50周年記念式典に参列させていただきました。
親愛会では、昭和54年5月に川越親愛学園(現、親愛センター)が開設となり、農業中心の作業の成果として、その年の秋には「収穫祭」(現、親愛まつり)を行おうということになりました。
当時はそれこそ1法人1施設(定員40名)でしたので、職員は20人も満たない人数です。大きな催し物を開くには、スタッフも揃えなければなりません。まだ川越あたりでは、知的障がい者施設は馴染みが薄くて、ボランティアを募っての開催などとても無理な話でした。
そこで、郄沢初代理事長の発案で、川越教会の初代教会長さんにお願いしたところ、100名以上にも及ぶ会員さんによるボランティア集団を編成していただいて、焼きそば・フランクフルト・おでん等の当日の模擬店スタッフはもちろん、前々日からの食材料買出し・仕込みなどすべてをやっていただいて、売上げをそっくりそのままご寄付いただく・・・、その上、テント・椅子・テーブル等の会場づくり、片付け、そして交通整理と何から何までお手伝いをいただきました。この全面協力が20年も続いたでしょうか、その後、親愛南の里ができて、職員の数が増した中にあっても、今なお手打ちそば、その他各種模擬店のスタッフ、駐車場係として支えていただいております。
直接、郄沢理事長より私が伺った話ですが、川越教会様とのご縁というと、今から50年前の、教会発足の昭和39年頃のこと、初代教会長さんが郄沢さんに「川越の地で教会活動を行いたいが場所がないので困っている」と、相談されたとのこと。当時、不動産業をしていた郄沢さんは、「見つかるまでの間、私の家の2階をどうぞ・・・」と、自宅を開放して教会として使っていただいたのが始まりだったようです。
その詳細を確かめたいと、私は、今回の式典を楽しみにしていたのですが、残念ながら、初代教会長さんは4月早々に97歳の天寿を全うされたとのことで、このことを知る人はもはやおられない結果となってしまいました。故初代教会長様におかれましては、ここに親愛会役職員一同、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
そのような川越教会様とのお付き合いですので、私は、さらに2代・3代・4代・5代・6代の各教会長さんを、その人柄とともに親しく存じ上げさせていただいております。その歴代の教会長さん方から現教会長さんまで、特に力を注いでいただいてきたのが、社会奉仕活動、今日の明るい社会づくりの会の活動だと思います。親愛会では、開設の当初こそ、川越教会様とのお付き合いを「特定の宗教団体と特別なつながりでもあるのか?」と訝しがる近所の方もありましたが、親愛会歴代の理事長・施設長も私も、長いボランティア活動に深く敬意を表し、深いご縁に感謝申し上げて参りました。
さて、20年来、庭野立正佼成会会長は『心田を耕す』「自らの心田を耕す。心の田に水を与え、太陽の光を当てて、私たちが思いやりのある人間になる。温かい心、柔軟な心の持ち主になる。それはまた、生命、人を尊重し、一切の生きとし生けるものを尊重すること。このことが仏教の第一義であろう」と、提唱されておられます。このことが、社会奉仕、すなわち教会としてのボランティア活動のコンセプトなのだと思います。私は、『一隅を照らす』(伝教大師最澄)とともに、座右の銘とさせていただいております。
当日の式典終了後の祝賀会では、歴代の教会長さんはじめ、この間お世話になったお馴染みのお顔を拝し、多くの会員ボランティアの皆様方とお話をする機会をいただいて、私は長年にわたりご協力いただいたことの感謝を述べさせていただきました。
折しも、本日は、川越親愛センターの開園記念日です。経ってみればあっという間の、そして多くの皆様方にご支援・ご協力をいただいた、感謝の35年間です。
(理事長 矢部 薫)