"犠牲なき献身"~令和2年度辞令交付式~

4月1日午前9時より、新任職員を迎えて、みどりのまち親愛内の髙沢ホールにて、「令和2年度辞令交付式」を行いました。
恒例の理事長あいさつ(訓示)と令和2年度一文字漢字発表をご紹介します。
「本日の辞令交付式にあたり、ご挨拶を申し上げます。
6名の新入職員の皆様方、ご入職、本当におめでとうございます。ご家族の皆様方も、さぞかしお喜びのことと存じます。
さて、今年の式典は、新型コロナウィルスとの世界中の戦い、パンデミック直前ともいえる中で行われるという、特別な日となってしまいました。
そのパンデミックの語源となった、1918年に起きたインフルエンザの世界的大流行は、結果、当時の世界人口約20億人のうち、感染者は最大5億人、・・・実に4人に1人が感染し、死者数は1千700万人から多くて5千万人に上り、その終焉には2年近くを要したとあります。
現在の医療水準は、当時とは格段の差があって、世界中の国々が躍起となって、治療薬の開発に取り組んでいる今では、克服に、そんなに時間は要しないとは思います。しかしながら、人口も80億人と当時の4倍に増えた一方で、政情不安を主な原因とする難民、実質的に飢えと寒さとの戦いで明け暮れる国々などへの、今後のウィルスの蔓延を考えると、今回のコロナウィルスとの戦いは、被害も拡大し、時間もかかるであろうと危惧されます。
ところで、1850年代に、西は中・東欧諸国を流れるドナウ川から東は北海道の北東方面に位置するカムチャッカ半島に及ぶ広大な地域で勃発した、いわば世界大戦の先例となったクリミア戦争に従軍したナイチンゲールは、戦場における負傷兵の悲惨な状況の改善に奔走し、「犠牲なき献身こそ真の奉仕」と経済的支援を訴えて、みずから看護を実践し、のちに医療から独立した看護学を確立したことで有名です。その多くは、医療看護を超えて、私たちの福祉の現場を支える理念となって、現在でも脈々と受け継がれています。
私たちは、今、まさに、コロナウィルスとの戦いに直面しています。私たちの各事業所でも、「絶対にウィルスを入れない」という段階から、「万が一感染者が出た」場合の対応をめぐって議論が始まったという段階にきています。
そんな異例の辞令交付式、仕事始まりではありますが、そのナイチンゲールの言う「犠牲なき献身」とは、毎年、秋からの半年間はその流行に神経をとがらせられるインフルエンザやノロウィルスへの対応も含め、自らの身を守りながら福祉の仕事を実践していくという、今や、私たちの基本的な心構え(姿勢)でもあります。
どうか皆様方には、過剰な、不適切な報道に惑うことなく、今こそ、法人を挙げ、それぞれの職場を挙げて、目に見えぬウィルスとの戦いに打ち勝って行こうではありませんか。
一日でも早く、このような状況下での辞令交付式も、よき経験(思い出)となるであろうことを祈ってやみません。
本日は、まことにおめでとうございます。」
「次に、今年度の一文字漢字は『採』とします。意味は、①とる。とり出す。とり入れる。「採掘」「採光」②拾いとる。集める。「採取」「採集」③えらびとる。「採択」「採用」とあります。
今年度は、事業計画にもとづいて、引続き人材<採用>に全力を挙げて取り組まなければなりませんし、人材育成では職員一人ひとりの潜在能力をも<採掘>して、中長期計画にかかわる各種情報を<採集>し、諸事業の実施(具体化)に向けてさらに歩を進めたいと思います。」
(理事長 矢部 薫)