完走〜青梅マラソン〜

とうとう、今年7月に還暦を迎えることとなってしまいましたので、どうしてもその前にやっておきたいことの1つに「フルマラソン」があります。
「フルマラソンを走らなきゃマラソンは語れない」と、ずっと思っていたのですが、今月21日に、青梅マラソン30キロを走りましたので天下の青梅マラソンならばよいだろう・・・ということで、本欄に書くことにしました。

昨年9月に、今やすでに市民マラソン大会の代表になっている東京マラソンに申し込んだのですが、前年に引き続き抽選に漏れました。そのことを見越して、その1週間前に行われる青梅マラソン(申込順のエントリー)に申し込んでおいたのでした。
昨年は、本大会の10キロの部に出場しましたが、それでも折り返し地点の登り坂、そしてラスト3キロ、2キロは疲労困憊、かなり苦戦したのを覚えています。
今年はなんたって30キロ・・・、行きの電車の中のこと、心臓が喉から手が届きそうなくらいまで上がってきましたので、これはまずい!・・・と思いつつ、前の座席を見ると、女優の川島なお美さん似の、その女性は、服装・持ち物は普通ながら、靴がマラソン用だったので、少し驚いて・・・。そう、電車の中には、ちらほらスポーツウェアの女性が目立つ・・・。そんな車内の風景を眺めているうちに、私は完全に平常心を取り戻したのでした。・・・
さて、無事に受け付けを済まして更衣室のある体育館に入ると、ここはまるで海鳥の営巣地かと思うほど、各自小さなビニールシートにリュックサックを置いて、何やらごそごそと身支度に余念がない・・・。実際、貴重品を預けに行って帰ると、わずかの隙間を確保してどうにか割り込んで作ったはずの自分の営巣地(場所)がすぐには分からない。・・・どうにか探し当てて座ると、隣の男性が何やら、足に、脚にやたら塗りたくっているのが目に入りました。そう、この異様な鼻を付く匂いは、紛れもないサロメチールかムヒか・・・、予め塗っておくと効果があるのか、見渡せばあちこちで塗りたくっているのでした。・・・
かくして、スタート時間が迫り、元テニスプレーヤーの杉山愛さんのピストルスタートによって、総勢1万5千人のマラソン大会は開始されました。
やがて青梅の繁華街に入ると、市民の皆様方も心得たもので「待ってました!」とばかりに、私たちは、松村和子さんの懐かしいド演歌『帰って来いよ』が流れる中、早くも「がんばれ、がんばれ!」の大声援を受けて、走るのでした。
さらに進むと、沿道は、和太鼓の演奏やら、フォークグループ、ロックバンドの演奏やらで、まるでお祭り騒ぎ・・・、昨年よりもヒートアップしているかのようでした。道は走る1万5千人のランナーたちですでに埋め尽くされていて、市街地を抜けるまでの2キロは、途中、何度も立ち止まってしまうほどの大混雑ぶりでした。
私は、練習で「キロ7分なら走れる」と見込んでいたので、「そう、ゆっくり、ゆっくりだ」と自分に言い聞かせながら走ったものですから、早くも次々と追い抜かれる始末・・・。申込時の本人のベストタイムの順に、おおよそゼッケン番号が振り分けられておりますので、遅い組の1万番代のランナーが次々と目の前に現われては先を急いで行きます。
10キロ過ぎると、苦痛にワーワー泣きながら脱落してくる女性ランナーを最初に、次々と落ちてくるランナーが出てきました。他方、折り返してくるトップの(ランナーではなく)“一流選手!”たちが1人2人、あるいは集団を作りながら、ものすごい勢いで向こうからやってきて、あっという間に過ぎていきます。文字通り“倍速”です。中には、女子マラソン界で有名な大南姉妹がいたようですが、残念なことに当人を確認できませんでした。
私は、というと、折り返し点直前の坂が続くあたりで、とうとう左膝外側がきりきり痛み出して、少し走り幅を縮めても楽にならない・・・、これでは途中棄権か?!そうなれば年賀状に「青梅マラソン30キロを走ります」などと書いてしまったのが、今となってしきりと悔やまれるのでした。
折り返し点を過ぎたところ、15キロ地点の給水場で立ち止まって水を飲んで・・・、それから考えればいい・・・と、初めて給水を受けることとしました。
コップの水を飲み干して、・・・すると、嘘のように関節痛が収まりましたので、再度、走り出すことができました。
帰りは、沿道の家々で、大会の給水地点とは別に、たとえば上りの坂道で辛く苦しいポイントでは、家庭用のポットに入れた水を紙コップで出してくれたり、また飴や氷砂糖、バナナやミカン・レモン、中にはお煎餅などを出してくれるお宅もありました。こうなると、次々と、歩くランナーを尻目に、よいしょ、よいしょ・・・。
かくして、大勢の皆様方に支えられて、ラジカセから流れてくるZARDのヒット曲『負けないで』に迎えられて・・・、どうにか3時間半で無事ゴール、目標の“完走”が果たせたのでした。
(理事長 矢部 薫)
追記 世はマラソンブーム。国内では年間1,500のマラソン大会が行われています。フランスでは、日本の半分の人口ながら、年間約6,000もの大会が行われているそうです。ちなみに、わが町川越市でも、来年度「小江戸ラソン大会」の実現に向けて、本格的に準備が始まったとのことです。