やるな爺さん!〜高齢者の存在感〜

司会者:だいぶ前にちょい不良(ワル)オヤジなんてのが話題になりましたが、あの頃の親父もそろそろお爺さんかも知れません。そこで皆さんはちょいワルジイさんになって、ワルぶった武勇伝を自慢してください。仲間の私が「やるなジイさん」とほめますので、さらに続けていただきたい。
E:俺はよー、30も歳の差の愛人作ってやったぜ
「やるなジイさん」
 あの婆あ、100(歳)過ぎてるかな(笑)
Ki:朝帰りしてやったぜ
「やるなジイさん」
 夜出かけたら帰り道が分からなくなっちゃってよ(笑)
S:わしはなー、電車に乗ると若い子にちょくちょく声をかけてるんじゃ
「やるなジイさん」
 すいませんが席を譲ってください(笑)
K:昨日の晩はさあ、バアのママに今夜は帰さないわよって言われちゃったよ
「やるなジイさん」
 勘定払うまで帰さない(笑)
E:俺たち普段はみんなそろいの革ジャンだぜ
「やるなジイさん」
 (司会者をさして)あんたも骨と皮じゃん(笑)
Ki:いい女を見てね、後をつけてやったぜ
「やるなジイさん」
 一本道なのに巻かれちゃってよ(笑)
Ki:わっしゃあまだまだ元気でよー。今朝なんか2回も飯食ってやったぜ
「やるなジイさん」
 1回食べたのを忘れちまってよ(笑)
笑点』の真骨頂と言うべきでしょうか、一番受ける“自虐ネタ”をメンバーが地でいったような、7月13日放映の大喜利3問目は何回見ても抱腹絶倒です。
ちょい不良(ワル)ブームの起源は、男性向けファッション雑誌『LEON』2002年2月の特集記事「モテるオヤジの作り方」だそうです。
1、モテるオヤジは(若ぶれるけれど)若ぶらない
2、モテるオヤジはレディーファーストがさり気にキマる
3、モテるオヤジは「話し上手」で「聞き上手」
4、モテるオヤジは日焼けで黒い
5、モテるオヤジはメガネが小道具
6、モテるオヤジは指先、足元にヌカりなし
7、モテるオヤジはパンツが細い
8、モテるオヤジは極上のペンを大小2本持つ
この「ちょいモテオヤジ」は、2005年の新語・流行語大賞に選ばれたということですが、これを「ちょい不良(ワル)オヤジ」として進化させたということです。
上記“(若ぶれるけれど)若ぶらない”とは、若い男性(この場合“小僧”と呼ぶ)ファッションに似せて若ぶる(年齢に合わない若作りをする)のではなく、やろうと思えば“ちょい”と若ぶれるというのです。
したがって、ちょい不良オヤジは、不良(ワル)ぶれるけれど不良(ワル)ぶらない。格好だけワルを気取っているが、実際に不良をしているわけではないというものです。このファッション界の少し不良がかった中年男性のイメージ戦略から派生した“ちょいワル〇〇”が、テレビなどでいっとき下世話に使われたこともありました。
このちょいワルオヤジの年齢層は、文字通り父親世代と解釈しますと30歳から50歳代ということになるかと思います。上記大喜利では、それがそろそろお爺さん(65歳以上)になると想定していますので、この場合、ちょうど団塊の世代(昭和22年〜24年生まれ)を言っているようです。

話は変わって、先月の8月7日に行われた「担当圏域研修会」(市地域包括支援
センターみずほ主催)での講義『改正介護保険に対する対応方法』中、講師の長谷川佳和氏(日本介護支援専門員協会埼玉県支部長)によると、「今のままでいくと10年後には介護保険制度は破たんし、年金制度も財源が底をつく」、「(たとえば)高齢者の定義を現在の65歳から75歳までとすると高齢者が半減する」という説明がありました。
そこで、昨年の8月6日に社会保障制度改革国民会議の報告書を受けて、厚労省が示した「社会保障制度改革の全体像」(平成26年3月28日付)を眺めると、
団塊の世代が全て75歳となる2025年には、75歳以上が全人口の18%となる。
介護保険の第1号被保険者のうち、75歳未満者の要介護認定率は低い。
など、一般的なとらえ方として高齢者を65歳以上とする記述は少なくて、暗に75歳以上を高齢者としたような記述が目立ちます。ご承知のとおり高齢者医療制度では、65歳以上75歳未満を前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と呼んでいます。
さらに、介護保険制度、年金制度の項を追っていくと、このままでは“破たん”が読み取れるのです。
私たち親愛会関係者にとっては、現在建設中の特別養護老人ホームの行く末に一憂せざるをえないゆゆしき事態なので、今後の制度改革論議は逐一注視しなければならないところです。
また、私のように団塊の世代の背中を見ながら年を重ねる世代にとっては、団塊の世代の高い人口比による影響(持続困難)を理由に相次いで制度変更が行われる(行わざるを得ない)時代にあっては、結果、年金の支給年齢引上げ減額、そして定年引上げ・・・と、永遠にリタイアできないことになりそうです。ついては、「俺たちには老後はない!」とばかりに、生きているうちは意地、あるいは虚勢を張ってでも元気に・・・、たとえば冒頭のような“ちょい不良(ワル)ジイさん”になって、苦境をダジャレで軽くいなして、いつまでも「やるなジイさん!」と大向うから声がかかるような人生でいくしかないと思います。
(理事長 矢部 薫)