あるがままに見て心は安らかに〜般若の智慧「如実知見」〜

ある仏教学者が隣家からのもらい火で、自分の家が焼けてしまいました。貴重な蔵書も、書き溜めた研究論文も、何もかも灰になったのです。彼は隣家に仕返しをしてやりたいと、悶々とした日々を送っていました。 そのとき、彼は、自分の家が隣家から「焼かれた…

新年度にあたって〜社会福祉法等の一部改正法の成立を受けて〜

4月1日午前9時より、平成28年度新任職員辞令交付式(入社式)を行いました。昨年度はみどりのまち親愛のオープンに合わせた職員採用を行ったため新任職員35名を数えましたが、今春は一昨年度並みの22名を迎えて、法人全体では非常勤職員も含め総数…

福祉という“感情労働”〜メンタルヘルスの視点〜

昨年12月より「ストレスチェック制度」が開始されました。労働安全衛生法の改正により、従業員50人以上の事業所では年1回のストレスチェックが義務付けられたのです。内容は、ストレスに関する質問票に労働者が記入し、それを集計・分析しストレス状態…

みどりの町に“里の道”〜日本画の寄贈〜

昨年秋に、法人本部のある「みどりのまち親愛」に日本画の寄贈がありました。 制作者は、兵庫県姫路市在住の日本画家、山粼法枝(やまさきのりえ)氏。現在、兵庫県日本画家連盟会員、神戸芸術文化会議会員、姫路美術協会運営委員、半どん播磨の会会員等々を…

先達に“薫陶”あり〜気骨あるお二人のご逝去〜

新年早々に、訃報が届きました。社会福祉法人幸仁会理事長の野村吉茂先生が1月1日にご逝去されたというのです。昨年の11月4日に啓和会常務理事の池並雪枝先生が亡くなられたばかりですので、届いたFAX文を見るや、私は「ええーっ!」と声を上げてしまいま…

謹賀新年〜社福法改正を前に思うこと〜

「心で見たときだけ本当のことが分かる 大切なものは目に見えない」 これはサン・テグジュペリ作の童話『星の王子さま』中の、最初は(王子:ねー、ぼくと遊んで?)「君と遊べない、なついてないから」(どういう意味?)「絆ができていないってこと、俺に…

仕事の魅力〜モチベーションアップ本来の要因〜

今年の親愛会職員の人材確保では、この2〜3年前から徐々に困難な状況が始まったとはいえ、幸い多数の職員を募集・採用できた次第です。「オープン時は大丈夫だよ」との関係周囲の助言どおり、年度途中の特養ホーム開設にもかかわらず、各職種とも当初の予…

心尽くしの思いやる心〜寄り添いを構築する道〜

少し前のことですが、NHKテレビ『こころの時代』に出演した花園大学教授(松雲寺住職)安永祖堂氏が、江戸時代の禅僧、盤珪永琢(ばんけいえいたく)の逸話として話されたことを紹介します。 盤珪禅師といえば、やさしい言葉で大名から庶民にいたるまで広く…

苦しいから生きる〜『平成27年度法人夏期研修会』〜

恒例の夏の職員研修会は、7月の特養ホーム「みどりのまち親愛」開設による職員数の増員に合わせて、今年は8月10〜12日の3日間、今春川越駅西口にオープンしたウエスタ川越の会議室を会場に行いました。 午前の部は、私の講義と、1日目は僧侶、2日目…

スポーツを楽しむ〜体育の呪縛からの脱出〜

寄る年波のせいでしょうか、夜9時を過ぎる頃には、かなり眠い。10時よりも前に寝ると、翌朝4時前後には目が覚めてしまいます。いつもは布団の中でごろごろしながら俳句作りをしていますが、なかなか句に仕立てられない時は、思い切って起きてしまうこと…

オープンして1か月〜そして、みどりのまち親愛点描〜

7月1日に介護保険福祉施設「みどりのまち親愛」がオープンしてから1か月が経ちました。 当初の見込みよりも入居者が少なくて、他施設の動向も聞き及ぶところ、4月、8月の相次ぐ介護保険制度の改正による影響もさることながら、背景には後期高齢者の絶対…

髙沢さんの胸像がやってきた!〜髙沢初代理事長胸像記〜

かつて、髙沢家の応接室のマントルピース上に置かれてあったか・・・、私の記憶は定かではありません。 今から25年も前のこと、ある日、いつものように車でお迎えに上がると、奥から 「中に入って、少し待ってくれんか」と、髙沢理事長の声がありました。 理事…

介護老人福祉施設「みどりのまち親愛」竣工

6月28日、梅雨真っただ中にあって、奇跡的に朝から快晴の中、みどりのまち親愛の竣工式を行うことができました。式典および祝賀会の模様は、事務局ブログに任せて、本欄は主催者挨拶を紹介します。 ***************************…

一筆啓上〜朝の囀りの中で〜

春、5月には珍しい、ほぼ日本列島縦断の台風が、大きな被害をもたらすこともなく通り過ぎました。 台風一過2日目のこの日、いつもの散歩コースの始まりは砂利道で、まだ引けきらない水たまりには咲いたばかりのエゴノキの花びらがすでに“花筏(いかだ)”を…

新年度にあたって〜1万時間と初心〜

4月1日午前9時より、親愛会職員辞令交付式(入社式)を行いました。 一昨年までは10名程度でしたが、今年7月には特養ホーム開設を控えていますので、昨年の23名に続いて新採用職員35名という規模の大きな式となりました。 恒例の理事長あいさつ(…

15歳と20歳の春〜人材の門出〜

毎年3月に入ると、お付き合いのある中学校や特別支援学校、そして専門学校等から卒業式のご招待をいただいて、都合のつくところ、事務局長と手分けして式に参列させていただいています。 3月13日、川越市立福原中学校の卒業証書授与式が行われました。 …

クラシック音楽の味わい方〜バッハとベートーヴェンと〜

―夏の日差しは、午後になったとはいえなお強く、ギラギラと八つ手の葉に降り注いでいて、その葉裏から地面に落ちた葉影までの空間に、・・・先ほどから背中は冷え冷えとしたまま、私は釘付けになったように見入っている― まるで幼児体験のような、そんなリアル…

富士山礼賛〜武蔵野絶景記〜

“武蔵野から見た冬の富士山はひたすら美しい”などと、心弾ませながらの早朝の散歩は、寒風吹く中でも楽しいものです。 私の日課としている散歩の時間は1年を通して朝6時と決めているのですが、日の出の時間に合わせて、夏はそれよりも30分程度早めになる…

褒め言葉〜人生のきっかけ〜

「君の喉の奥には小鳥が住んでいる」 これは、先日行われた『アート・ガーファンクル来日公演』中に披露された、これまでの自身の人生を振り返った詩の朗読(通訳)の一部です。 Aガーファンクルといえば、映画『卒業』(1967年公開)の全編を通じて流れる曲…

もう一つの高齢病弱者対策〜さがみ野ホーム竣工〜

確か、昨年6月の「全国知的障害関係施設長等会議」(全国知的障害者福祉協会主催)の休憩時間のことだったと思います。会場通路やロビーで行き交う人たちの中に、数年ぶりに見つけた神奈川県綾瀬市にある障害者支援施設「さがみ野ホーム」施設長の佐竹さん…

懐古ラン〜わが青春の金沢を走る!〜

決して本格的なランニングランナーなどではなくて、あくまでも制限時間内にどうにか完走できるという、私のような健康志向のジョギングランナーにとっても、今や全国各地で行われている大会に年に何回かはエントリーして、日ごろの成果を確かめ、かつ継続の…

家族のあり方〜同居・隣居・近居・遠居〜

春先のテレビ番組で、東日本大震災被災者対象の講演会が放映されていました。その中で、講師は、今なお家族がばらばらになったまま避難生活を強いられて悲しい思いをしておられる会場の皆様に、現在の多様な家族のあり方を紹介して、「いざというときには、…

本を読むということ〜一読・二読・復読〜

夏の初めに、福祉業界の先輩でもある親友から50冊もの本をいただきました。せっかくの贈り物なので、全部読んでしまおうと決心して、現在、18冊目に入っています。 若い時と違って、文章を追うそばから忘れていくような気がして、これまでのような速読で…

虫時雨(むししぐれ)記〜あるいは”スズムシ騒々記”〜

9月に入ってから、家内がスズムシ(鈴虫)を知人からいただいてきました。早速、70〜80匹もの虫が玄関のあがり口でいっせいに鳴き(羽を擦って音を出す)だしたのですから、すさまじい音量かつ音色です。 角田忠信氏(東京医科歯科大学教授)によれば、…

やるな爺さん!〜高齢者の存在感〜

司会者:だいぶ前にちょい不良(ワル)オヤジなんてのが話題になりましたが、あの頃の親父もそろそろお爺さんかも知れません。そこで皆さんはちょいワルジイさんになって、ワルぶった武勇伝を自慢してください。仲間の私が「やるなジイさん」とほめますので…

ハンセン病の悲劇〜丸山先生のご縁〜

先月22日夕方のNHKテレビで、「天皇皇后両陛下がハンセン病療養所を訪問され、今回で全国すべての療養所の元患者との懇談を果たされた」とのニュースが流れました。それに先駆けて新聞報道もありましたので、改めてハンセン病のことを想起された方もいらっ…

『遠野物語』に思いをはせて〜特養ホームの黎明〜

111 山口、飯豊、附馬牛の字荒川東禅寺及火渡、青笹の字中沢並に土淵村の字土淵に、ともにダンノハナと云う地名あり。その近傍に之と相対して必ず蓮台野と云う地あり。昔は六十を超えたる老人はすべて此蓮台野へ追い遣るの習(ならい)ありき。老人は徒(い…

極上の散歩道〜心の通う道〜

7、8年前からジョギングを始めて、毎週土曜日は10km余りを1時間少しかけて、決して無理をせず、周りの景色を眺めながら走ることを楽しみとしてきました。が、寄る年波、この1、2年はかなり気合いを入れても、当初のようなタイムは出なくなりました…

“心田を耕す”〜35年のボランティアという実践〜

去る4月20日に盛大に行われた、立正佼成会川越教会発足50周年記念式典に参列させていただきました。 親愛会では、昭和54年5月に川越親愛学園(現、親愛センター)が開設となり、農業中心の作業の成果として、その年の秋には「収穫祭」(現、親愛まつり…

平成26年度一文字漢字『備』〜そなえるということ〜

去る4月4日に行われた、例年より少し規模を小さくした新任職員歓迎会の挨拶の中、恒例の、今年度の一文字漢字『備(び)』を発表しました。 “備”とは、漢字の成り立ち・由来を調べると、人が矢を入れた箙(えびら)を肩や腰に掛ける形声文字で、狩り(戦)…